『何食べ』から考えるゲイカップルの人生設計|お金や資産をテーマにゲイ専門のFPさんにお話を聞いてみた

ファイナンシャルプランナー野口(愛称:たいさん)・加藤(愛称:りょうさん)

40~50代のゲイカップル場合、将来について考える機会が増えてきますよね。

・恋人とこの先10年、20年一緒に安心して過ごすにはどうしたらいい?
・自分の資産を相手に残してあげたいけど、そんなことできるの?

「今が楽しければいいや!」なんて言っていられないのが、この世代特有の悩みだよね…。

たとえば、昨年放送していたドラマ…

きのう何食べた? season2

画像引用:テレビ東京

『きのう何食べた?(season2)』なんて、まさにそんな感じの2人ですよね。

シロさんとケンジ、仲の良いカップルですが、2人は立場も違えば収入も違う。

”何十年先もずっと一緒にいたい。”

特にシロさんが、将来に不安を感じて貯金していたりする姿を見ると、人生設計について考えてるんだなぁと思いますよね。

※実際に彼らと状況が似ているゲイカップルは多いのでは?もちろん2人はまだ元気。両親も健在。だけど、将来に対する悩み事は日々増えていく…そんな感じ。

そこで、人生設計のプロに相談してみよう!ということで、現役ファイナンシャルプランナー(FP)の方にお話を聞いてみました。

掲載している記事は、番組公式プロモーションやタイアップではありません。
読者さんがイメージしやすいように、ドラマの主人公をモチーフに、ゲイカップルにおけるお金の悩みや将来設計について解説した内容となっております。ご了承ください。

お答えいただいたのは…

 ゲイによるゲイのための  お金の無料相談プロジェクト

ゲイによるゲイのためのお金の相談プロジェクトを代表して、”自らもゲイのFP”として活躍されているこちらのお二人。

野口FP(愛称:たいさん)
1970年 広島県生まれ

旅と食が元気の源。47都道府県全制覇。リタイア後は日本中の旨いものを食べ歩くのが夢。その資金確保のために節約と資産運用に励む毎日。これまで実践してきた資産運用術、節約術を共有し、将来を楽しみに感じられる環境を提供するのが仕事のモットー。

2級ファイナンシャル・プランニング技能士
日本証券業協会一種外務員資格
お金の小学校認定講師
認知症アドバイザー

加藤FP(愛称:りょうさん)
1981年 千葉県生まれ

社会人アメリカンフットボールチーム『下町ゴリラズ』の代表兼選手。マイノリティ向けの保険相談窓口を始めて、1,000件以上の相談実績。人生におけるハード面、ソフト面の両面をサポートできる人間を目指す。好きな言葉は『挑戦』

生保協会認定FP
お金の小学校認定講師
NSCA-CPT(トレーナー資格)
メンタルヘルスマネジメント

さっそく気になる質問をしてみましょう!

Contents

もしも、”何食べ”の2人がお金や人生設計について相談にやって来たとしたら?

きのう何食べた?(season2)ツイッターより

画像引用:『きのう何食べた? season2』 公式 (@tx_nanitabe)

ドラマの設定に近い、ゲイカップルの方もいらっしゃると思います。

なのでイメージしやすいように

”シロさんとケンジが、もしFP(ファイナンシャルプランナー)に相談に来たとしたら?”

という設定で、いろいろ語っていただきました。

ただし、FPさんによると、パートナーがいても自分自身のことについてのご相談が8割方。なので、ほとんどの方は一人で来られるそうです。

今回は、あくまで”企画コンテンツ”としてお楽しみ下さい。また、FPさんを身近に感じていただけるといいなと思っています。

質問:シロさんとケンジが老後に向けてお金の相談に来るなら、どんな相談をすると思う?

FP(野口・加藤)による回答

そうですね、経験から推測すると…

・二人でいくら必要か?
・年金でどれくらい賄えるか?
・介護になったとき、大病したときにどれくらいのお金がかかるか?
・どちらかが死んだときに相手にお金を残すべきか否か、残すならその方法は?
・お墓をどうしたらいいか?

こうした事をお聞きになると思います。

なるほど。

人生を終えるまでにかかる費用や、もらえる年金がいくらくらいなのか?そして病気になった時や、どちらかが死んでしまった時、最後はお墓の話まで…。

悩みは死ぬまで尽きないものなんですね。

※結婚している夫婦であっても悩むのに、ゲイならなおさらかもしれません。特に病気やお墓といった問題は夫婦でない以上、想定外なことは多そうです。

質問:ケンジだけが1人でこっそり相談に来るパターンもある?もし来たらどんなことを相談すると思う?

FP(野口・加藤)による回答

ケンジさんの場合、貯金があまりないと想定して…

・貯金の仕方
・病気になった時に迷惑をかけない方法
・年金だけでやっていけるのか?もし、無理なら老後資金を準備する方法
・自分が先に死んだときシロさんにこれまでの恩返しがしたい

こうした事で相談に来られると思います。

病気になった時、「入院費や治療費で、シロさんに迷惑をかけちゃうかも…。」

ってケンジなら考えそうですよね。

やっぱり老後資金ですか・・。年金だけじゃ難しそうですもんね。

まずは年金がどれくらいもらえるのかを知った上で、足りない分をどう準備するか?を早めに考えることが必要かもしれません。

そのための資産運用法なども、FPさんにアドバイスしていただけるのは心強いですね!

※あとは、シロさんに恩返しするといえば、”死亡保険”っていうことも頭をよぎるでしょうね。特にケンジは貯金もなさそうだし、何か具体的な方法が知りたいって思っているかも。

質問:シロさんが1人で相談に来るとしたらどんなパターン?

FP(野口・加藤)による回答

シロさんはしっかりとお金のことを考えてらっしゃると思いますので…

・自分が先に死んだ場合のケンジさんの生活資金
・自分の資産形成
・節約と貯金だけで大丈夫なのか?
・家を買ったほうがいいのか?その家をケンジに残せるのか?
・ケンジさんの親も含めた親の介護費用
・相続に関するあれこれ

こうした事をお聞きになると思います。

…これは、またリアルな内容ですね。

たしかに「オレが死んだらケンジのやつどうするつもりだろう?」って考えそうです。

あとは今、住んでる格安の賃貸マンション。

このままでいくのか悩みますよね。高齢で、なおかつゲイカップルとなれば、次のマンションが借りれるのか不安になるでしょうし。

※しかも、作中では「事故物件」であると説明されていて、広々としているのに家賃はなんと10万円ポッキリ。都内では格安なんですよね。

ならば分譲という選択肢も…。うーん、確かに悩む。

質問:シロさんが先に死んだら、貯金をどの程度をケンジに残してあげることが可能?

FP(野口・加藤)による回答

遺言を書けば全額残すことは可能です。

ただし、親や子供(妻と離婚していても)には遺留分を請求する権利があり、主張されれば渡さなければならなくなります。

ですが、シロさんの両親はたぶん言わないと思いますね。

大げさに感じることもあるとは思いますが、大切なパートナーを守る一番のツールが遺言書です。

お二人で、一緒に手続きをすることをおすすめします。

※遺留分とは、一定の相続人に対して、遺言によっても奪うことのできない、遺産の一定割合の留保分のこと。

え、全額残すことが可能なんですか!!これにはびっくりです。

なんとなく身内や血縁関係がないと、遺産なんて何も残せないと思っていたので。

でも、どうやらそうでもないみたいです。

※自分の中の常識の範疇でいろいろ将来に対して不安になっていましたが、ファイナンシャルプランナーの方にここまで言っていただけると、少し安心できます。

また、FPさんのお話によると…

”死後事務委任契約”といった制度もあり、死後の事務について特定の第三者を受任者として託しておく生前契約もあるそうです。

質問:シロさんが先に亡くなったとして、ケンジが遺産を受け取れない場合ってある?また、受け取りを拒否するパターンもある?

FP(野口・加藤)による回答

資産に関しては、遺言書がなければ、長年連れ添っていても、愛し合っていても受け取れません。

ただし、パートナーを受取人にした生命保険の保険金は遺言書がなくても受け取れます。逆に、相続では、住宅ローンなど、マイナスの財産も引き継ぐことになるので注意が必要です。相続に関しては、ゲイの弁護士に引き継ぐことも可能ですのでご相談ください。

また、”相続権の放棄”という権利があるので、断ることも可能です。シロさんに生存中の親族がいれば、その人に引き継がれます。

自虐的に、こんな風にケンジが言ってしまうんじゃないか?って思って質問してみました。

やっぱり遺言があっても突き返す(放棄する)ことは可能なんですね。

※ちなみにシロさんって親以外に親族いるのかしら?原作でも登場していない気がします。

質問:シロさんが現役を引退するころにはだいたいどの程度、個人貯蓄があると予想できる?

FP(野口・加藤)による回答

年収1,000万円超で、あれだけ倹約をしていて、親に多額の仕送り等をしていなければ、月に30万円貯金しているとして30~70歳までの40年間で1.5億円くらい貯まっている可能性はありますね。

※ドラマ内では、親の病気をきっかけに仕送りをしているようですし、用立てたこともありましたね(2020年 正月スペシャル)。ただ何百万円も援助していることはなさそうです。

ただ、これだと、お金の相談は必要なくっちゃいますが。(笑)

サラリーマンなどの場合、可能であればリタイアまでに3,000万円頑張って貯めて、それを運用で増やしながら生活費に充てることで、”トータルで1億円規模”の老後資金を確保する方法等をアドバイスすることは可能です。

※たとえば65歳になり、貯金した3,000万円を毎年200万円ずつ使ってしまえば15年で終わりますが、残金(1年目時点だと残り2,800万円)をさらに資産運用して増やしていくイメージです。

実際はケンジさんくらいの収入(年収300~400万円)の方が圧倒的に相談に来られます。

しっかり貯金をしている人は、それだけお金のことを考えているとも言えるので、FPさんに相談される人も多いんでしょうね。

逆にケンジのような人でも、ちゃんとFPさんに相談して、お金の使い方や節約法を学ぶことで、しっかりと老後資金を確保できると分かって安心しました。

※ファイナンシャルプランナーって少し敷居が高いように感じていましたが、お金に関する疑問や不安があれば、気軽に相談して解消するのが正解のようですね。

質問:2人が年老いたとき、マンションに住み続けるほうがいい?それとも家はやっぱり郊外でもいいから買ったほうがいい?

FP(野口・加藤)による回答

今のマンションで広さや立地に満足しているのであれば、あえて買う必要はないと思います。

もし買うとしたら、リセールバリューを意識するべきなので、郊外ではなく、都心の駅近の物件で、将来は住み続けるも良し、売って郊外に引っ越すも良しです!

あとは、将来的に沖縄とか海外に移住したいとか、ケンジさんの実家に移りたいなどの希望がある場合も、あえて買う必要はないと思いますね。

※リセールバリュー = 再販価値のこと。購入金額に近い価格(またはそれ以上で)で売れるもの。

投資目的に近い感じで家を買うならアリと。

たしかに、郊外なら手頃な価格だけど、売りたいときにすんなり売れないし、買い叩かれるのは目に見えてますよね。

郊外で買うなら”終の住処”として決断するのがベストかもしれません。

※ドラマに出てくるマンションは、古くから住んでるから家賃もずっと据え置きな感じ。管理人さんがマンション管理をどこかに譲渡するとか、取り壊しをしない限りは安泰かも?

質問:シロさんとケンジは夫婦として認められていませんが、お金にまつわるトラブルで一番直面することは何?

FP(野口・加藤)による回答

やはり相続です。

何も準備せずに、パートナーに万が一があった場合、財産が1円も引き継げない等のトラブルが考えられます。

また、保険金の受取人になるためのハードルもまだ高い場合があります。

※戸籍上の夫婦でない場合、パートナーにかけられる保険金額の上限が低かったり、受取人として保険会社から認められない場合があります。

保険金の受け取りって、夫婦じゃなくても成り立つと思ってましたけど

意外とそうではないのか…。

FPさんのお話によると、ゲイカップルの場合、保険会社の上限はだいたい3,000万円程度が目安。それ以上は明確な理由がないと審査が通らない場合も。

※上限をなくすと悪用される(保険金殺人など)おそれがあるため。

野口さん、加藤さんもゲイカップルが多い現状もあり、上限が上がるよう日頃より保険会社にはたらきかけていらっしゃるようです。

ちなみに準備っていうのは、遺言書ですよね。これは絶対に用意しておくべき。

ゲイによるゲイのためのお金の相談プロジェクトでは、遺言書作成をお手伝いしてくれる弁護士の方もいらっしゃるとの事です。

※遺言書は弁護士をはじめ、司法書士や行政書士、税理士でも一緒に作成することが可能です。専門に扱っている事務所もあるので一度相談してみて下さい。

質問:シロさんにも兄弟がいたとしたら、ケンジに残せる資産はどの程度減るの?それとも全部残せるの?

FP(野口・加藤)による回答

兄弟姉妹には遺留分がないので、遺言書を準備しておけば減ることはありません。逆に、遺言書がなければ、全額兄弟に相続されます。

また、シロさんの親が生きている間に、シロさんが先に死んだ場合は、親には遺留分がありますので、三分の一は請求権があり、請求された場合には遺言の内容に関わらず親が相続します。

もちろん、遺言書がなければ全額親が相続します。

※遺留分とは、一定の相続人に対して、遺言によっても奪うことのできない、遺産の一定割合の留保分のこと。

ドラマでは、シロさんは一人っ子ですが、あえて聞いてみました。

なるほど。遺言書さえあれば、きちんとパートナーにお金を残せるんですね。

※関係ないですが、ケンジの実家ってなんか楽しそうでいいですよね、笑。お姉さん2人とも陽気な感じでいい人そうだし。筧家とは対照的なのがまた面白い…。

質問:生命保険はゲイカップルでも申し込めたり、受け取れたりするの?

FP(野口・加藤)による回答

各社条件は違いますが、同性パートナーを受取人に指定することは可能です。

ただし、保険金額に上限があったりしますね。また、受け取る時は贈与扱いになり贈与税がかかります。(法律上の家族であれば相続税で非課税枠も使えます。)

一番いいのは養子縁組になってしまうことで、それをすれば法律上の家族になります。

しかし、こうした場合は他の家族の理解が必要となるでしょう。

生命保険はずっと気になっていました。

戸籍上は他人であっても、保険が受け取れる。ただし、金額に上限があると。なるほど!

※たしかに、上限がないと多額の保険金を第三者にかけて殺人…なんてことも可能になっちゃうから、ある程度制限をかけているのかも。

確実に保険金等を受取る方法は、現状では養子縁組をして法的に家族になること。

ハードルは低くないですし、最適解かどうかは検討する必要がありますが、最も確実な方法ではあるようです。

※『何食べ2』の最終回では、養子縁組の話も出てきましたね。ケンジがシロさんの養子縁組になるのをイヤがっていたことから見ても、相続目的だとしても親子になるのに抵抗を感じる人もいるでしょう。

質問:パートナーの身内や親族が分からないまま相手が亡くなった場合、どんなトラブルが想定されますか?

FP(野口・加藤)による回答

緊急連絡先カード等がなければ、急病時に誰に連絡すればいいかやはり分からないのが現状です。

※仮に全く個人情報が分からなければ”身元不明遺体”として警察が対応すると予想されます。パートナーの連絡先や個人情報はある程度お互いに知っておくべきです。

また、単なるパートナーの場合は、入院時などの面会が認められないケースが有り、病状や、最悪生死もわからないでしょう。

死亡診断書を発行してもらえないケースも有り、その場合は、保険金の請求ができません。

これって、けっこうあるあるなのかなって思います。そもそも、親にカミングアウトしてないとその先の話なんてないですからね。

※ゲイカップルならある程度の年齢になっても確認してないケースって多いんじゃないかなって思いました。

カミングアウトの問題はありますが、やはり緊急時の連絡先は控えておくべきかも…。

また、入院などの場合は面会などの弊害もありますよね。ただし、これについては「パートナーシップ制度」によってかなり緩和されています。

しかしながら、死亡診断書は親族でなければ発行できない場合もあり、パートナーシップ制度があった場合でも、病院によって対応はまちまちのようです。

※パートナーシップ制度の内容はお住まいの地方自治体によって違いますので、一度確認してみましょう。

質問:シロさんとケンジ、2人の立場は違いますが、それぞれにあったおすすめの保険ってどんなものがある?

これは、ファイナンシャルプランナーの野口さんと加藤さん

それぞれに答えていただきました!

野口さんによる回答

・シロさん
一時払い終身保険、掛け捨てではない医療保険、3疾病保険、また保険以外では「つみたてNISA」をおすすめします。

・ケンジさん
医療保険、3疾病保険、保険以外では「iDeCo」「つみたてNISA」ですね。

加藤さんによる回答

・シロさん
変額保険の平準払い、掛け捨て医療保険(お金があれば保険は不要、入院時の個室代として加入)をおすすめします。

・ケンジさん
医療保険(一時金タイプ)ですね。

お金と人生設計(ライフプラン)は密接な関係があるので、FPは保険のプランナーの資格を持っている人が多いです。

※攻め(資産運用)と守り(保険)の両輪で、お金の事を考えてくれます。

野口さんと加藤さんも同様です。

また、ゲイのFPさんなので「ご結婚は?子供は?」といった質問をされるストレスもありません。

ゲイのライフスタイルに寄り添った相談、ゲイだということを共有しての相談ができるのが『お金の相談プロジェクト』のコンセプトなのです。

※今回はカップルのお金事情にスポットを当てましたが、老後資金や、資産運用、保険等、まずはご自身のことから相談してみるのもいいと思います!

ゲイのFPがお金の悩みを解決

ゲイによるゲイのためのお金の相談プロジェクトHP

貯金・保険・資産運用・相続…

ゲイのFPがゲイのライフプランに寄り添いお金の悩みにお答えします。

・ひとりひとりのご相談、お悩みにお応えする「お金の無料相談」
・お金の基本から勉強してみたいみたい方向け「お金の男子校」

ご興味のある方は、HPをチェックしてみてください。
今回、取材にご協力いただいた野口さん、加藤さんも参加されています。

気軽に相談:お金の悩みを大募集

ファイナンシャルプランナーの野口・加藤による一問一答。

ゲイの方限定で、”お金や資産にまつわるご相談・ご質問”を募集します。

寄せられたご相談は、FPによる回答をふくめサイト内で公開予定。

みなさんの悩みを聞かせてください!

※以下フォームより気軽にご相談いただけます。なお、公開されても可能な範囲でご記載ください。