2023年に制作されたテレビドラマ『僕らの食卓』をご紹介。
ゲイドラマでありながら、家族、特に幼い男の子がキーポイントとなる、”新しい家族のかたち”を表現した心温まるヒューマンドラマです。
※また、ドラマ(ロケ地)の舞台も徳島県美馬市ということで、東京にはないのどかな景色も楽しめる作品となっています。
Contents
僕らの食卓 – あらすじ
画像引用:https://twitter.com/boku_syoku
会社員の豊(ゆたか)は、家族と疎遠で人と食事をするのが苦手。ある日、公園で年の離れた兄弟・穣(みのる)と種(たね)に出会い、なぜか「おにぎりの作り方」を教えることに。それ以来、一緒に食卓を囲み食事をすることが増えた豊たち。やがて、家族のような存在となり、そして豊と穣の距離も次第に縮まっていく・・・。食事を通し、人のつながりを描く人間ドラマ。
※ちなみに、主演である犬飼貴丈さんと、飯島寛騎さんは、どちらも仮面ライダーシリーズ出身の俳優さんだそうです。2人にはそんな接点があったりするんですよ。
登場人物について
犬飼貴丈さん演じる『穂積 豊』
画像引用:https://twitter.com/boku_syoku
めがねをかけて、髪形はミディアムの”草食系男子”を演じ、職場でもあまり話さない物静かな青年。
ドラマ内でも、幼少期の体験から内気な性格で食事もいつもひとり…。
※豊は小さいころに両親を亡くし、親戚の家に預けられ心無い言葉をかけられながら育ちましたました。それが原因で兄との間にも溝ができてしまい、親戚の家で預けられた先で一緒にご飯を食べたり会話をすることが怖くなったという背景があります。
そんな豊がいつものように、職場のお昼休みにひとりで公園に行きベンチでご飯を食べていたとき、穣(みのる)と種(たね)という歳の離れた兄弟に出会います。
臆病で奥手な性格な豊ですが、穰との関係を思わず応援したくなるような誠実な好青年役を演じています。
飯島寛騎さん演じる『上田 穰』
画像引用:https://twitter.com/boku_syoku
小さい弟の面倒を見る、やんちゃな性格の穰(みのる)。
※母親が他界したため、大学を休学して弟の面倒(幼稚園の送り迎えや食事の支度)を見ており、ラーメン屋でバイトをしながら生活しています。
金髪で言葉遣いが少し荒いので怖い印象がありましたが、なんだかんだで弟のことが好きで面倒見のいいお兄ちゃん。
ドラマの後半では、自分から豊にキスをしたり手をつないだり…。ただ、ノンケの豊は戸惑い、さらに穰自身も苦悩するという立ち位置。
穰が悩んでいたりしていたときは、見ているこちら側としても悲しいと感じましたし、やはり穰は元気に挨拶するほうが見ていてうれしい、そんな存在です。
※豊が、穰と種の2人のために料理をしてあげた時も、素直に”ありがとう”と伝えていたのが印象的で好感が持てました。実はまっすぐな好青年だったりします。
前山くうがさん演じる『上田 種』
画像引用:https://twitter.com/boku_syoku
穰の歳の離れた弟である”種(たね)”くん。
子どもながらかわいいし親しみやすい性格で、豊と穰を結ぶキーパーソンな男の子。
小さい子どもなので、あれやってほしいとかこれやってほしいとか、甘えてくるのですが、それが逆に豊には好印象。
3人で一緒に遊んだり、ご飯を作ることによりそれぞれの絆が深まります。それがまさに加家族のような、一般的なゲイドラマにはないエッセンスとなっています。
こんな弟がほしいと素直に思いました。やんちゃで元気いっぱいの種くんと仲良くなりたいと感じる人も多いのでは?
※それにしても、前山くうさんの演技がかなりお上手。この熱演あってこそ、ドラマの質が一気に上がったと言えますね。
見た感想
癒される… まさに純愛ドラマ
豊が、種くんのためにお弁当を作ってプレゼントするシーンがあるのですが、おにぎりには自信があるけれど、お弁当は作ったことがありませんでした。
※そもそも今まで1人で食べる食事にそこまでこだわりがなく、この兄弟に出会う前までは、料理のレパートリーはそんなになかったんですね。
なので、種くんに喜んでもらいたいのでお弁当の作り方をネットで調べたり、職場の同僚からお弁当の作り方を教えてもらいアドバイスを受け、種くんへお弁当をあげるというシーンがあります。
※もちろん、種くんは美味しそうに食べてくれました。
ドラマ内では、そこで豊が「好きな人に美味しい!って言ってもらえるとやっぱりうれしいね!」と穰に伝えるシーンがあるのですが…
ちゃんと自分の言葉で、うれしいとかありがとうとかごめんなさいとか、相手へ素直に気持ちを伝えている豊が… 純粋にとっても”眩しいな”と感じました。
※もちろん、やんちゃなところもある穰(みのる)に対しても素直に思いを伝えていて、その優しさから穰は「助けられた」というセリフを残しています。
そんな”ピュアさ”や”優しさ”から穰は好きになり、豊の頬にキスをしたり、手をつないだりしてお互いの関係を深めていきました。
…まさに、純愛ゲイドラマと言っても過言ではありません。一途な片思いが丁寧に描かれています。
また、セリフの端々から恋愛だけでなく家族への想いなどもクロスしていく、ヒューマンドラマの側面もすごく感じましたね。
ずっとこの関係が続いてほしい
この作品の終盤、穰のお父さん(原田龍二)の「誰かと食べることは、それだけで特別なこと」という言葉が印象的でした。
※ちなみに、穰は弟の豊の世話をしていますが、実はお父さんである陶芸家・耕司も一緒に住んでいます。ただ働いているからか、種くんの面倒は主に穰が見ています。
いつも豊は朝も昼も夕ご飯もひとりで食べていたので、この言葉が胸に刺さったんだと思います。みんなで一緒にご飯を食べているシーンが、より印象的に映りましたね。
※特に、豊と穰が一緒にご飯を食べている場面は、見ていてうれしい瞬間でした。
もう、ずっとこのような関係が続いてほしいと願わずにはいられない…。
好きな人と食べたのなら、その美味しさは、2倍にも3倍にもふくれあがるんだろうなと気持ちをかき立てられました。
やさしい言葉が印象的
また、豊が「今のしあわせな関係がいつか無くなるかもしれない」と怖がるシーンがあるのですが、そんな豊に穰は「なにかあったら伝えてほしい」とやさしく言葉をかけます。
苦しそうにしている豊に、静かに思いを寄せるこの場面も印象的でした。
※とにかく振る舞いもやんちゃで少し乱暴な言葉づかいをする穰なんですけど、好きな人のことがとことん気になって仕方がない、心配で仕方がない、そんな想いが切ないけど温かいんです。
料理からドラマが生まれる
『僕らの食卓』はタイトル通り、食卓からいろいろなドラマが生まれていきます。
はじめは豊が自宅で作ってきたおにぎりから始まり、穰たちの家で種くんのために雑炊を作ってあげたり、お弁当やラーメンチャーハンやキムチ鍋など…
それぞれの料理に想いが詰まった素敵なストーリーが紡がれます。
※かといって「何食べ」みたいなコメディ要素のある大人の恋愛ドラマとは違う、ほっこり感とやさしい言葉回しが印象に残るドラマです。
ほっこりしあわせな気分
この作品を見たら土鍋でご飯を炊きたくなりましたね。
※2人が関係を深める事となった、第1話の”ばくだんおにぎり”は、作り方も簡単で、中に入れる具材も劇中でいろいろなバリエーションがあり、味も楽しいものになっております。
ドラマの登場人物は料理がものすごく上手いというわけではないですし、ひとつやふたつ自信作のレシピを持っている程度。
※あとは、スーパーでお惣菜を買ったりレトルトのパックをあたためたりと、あまり難しいことはしていないません。
けれど、大切な人となら、その美味しさがふくれあがり、楽しいことも嬉しいことも分かち合えるのだと知りました。
僕もひとりでご飯を食べることがあるので、このドラマを見ていたらほっこりしてしあわせな気分になれました。
ゲイの恋愛を描くだけでなく、家族の温かさをしれるそんなヒューマンドラマです。ぜひ皆さんもチェックしてみて下さい。
ドラマ『僕らの食卓』
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