2020年、テレビ東京系列で放送されたドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』をご存知ですか?
”チェリまほ”の愛称で知られる作品で、30歳で童貞を迎えた主人公・安達がある魔法を手に入れ、同期・黒沢が自分に好意を寄せていることに気づき、愛を育むストーリー。
※安達は最初ノンケだったのですが、ドラマでは見事に黒沢と結ばれハッピーエンドとなりました。
そんなドラマの続編が、今回ご紹介する『チェリまほ THE MOVIE』
Contents
『チェリまほ THE MOVIE』について
童貞のまま30歳なり、“触れた相手の心が読める魔法”を手に入れたサラリーマン・安達(赤楚衛二)と職場の人気者で仕事も出来る同期・黒沢(町田啓太)は恋人同士。交際を重ねたり、社内恋愛も順調で幸せな日々の中、安達に長崎転勤の話が訪れる。やりたい仕事ができる機会に喜ぶ安達だが、転勤先は遥か1,200km離れた長崎だった――。転勤話をめぐり、お互いを想い合うがゆえにすれ違ってしまう安達と黒沢。そして、遠距離恋愛をきっかけにふたりは未来について考え始めて……。果たしてこの恋、どうなる!?
おびえた仔猫だった安達(演:赤楚衛二)も成長!?
画像引用:https://www.moviecollection.jp/
猫背で子どものような話し方から親しみやすい印象がある安達。ドラマでは、”だめだ、できない”が口癖のような彼ですが…
劇場では仕事に力を入れて上司から大きな仕事をやってみないか?と転勤・昇格の話を持ち掛けられます。
夜遅くまで働いていたり、睡眠時間を削ってまで無理をしたりと大変なのですが、思わず頑張れ!と応援したくなりました。
※こんなにも忙しいのに安達は、黒沢にも、同じ職場のみなさんにもやさしく振る舞うのが癒される。職場はみんないい人ばかりで逆に羨ましくなるくらい。
魔法がとけたことで、黒澤が何を考えているのかわからなくなってしまった
映画では、安達が無事に童貞を卒業したことで、魔法がとけてしまいます。
…ただ、このことによって黒沢がどんなふうに思っているのだろう?転勤には賛成してくれるだろうか?ということがわからなくなり、自分なりに考え行動します。
僕的には、その姿に応援したくなり、ずっと見つめていました。
※不器用かもしれないけれどひたむきに生きている安達に共感。黒沢という大切な人ができると、人は変わり、成長するのだと思いましたね。
彼氏として一途に安達を想う黒澤(演:町田啓太)
画像引用:https://twitter.com/tx_cherimaho/
背筋がしゃんと伸びて礼儀正しい好青年。
言葉使いもしっかりしていて頼りになる上、仕事ができて後輩思い。もう最高のイケメン彼氏。
※職場でもプライベートでも女性にモテる黒澤ですが、ドラマでは安達のやさしさに触れ、黒沢に思いやりが芽生え、安達を大切にしていくようになります。
黒沢は、料理もできて掃除や洗濯もできる”完璧な人”という感じでしたが、安達が長崎へ転勤になり安達へ向かって「淋しい…」と伝えます。
※この彼氏に寂しい思いを伝える黒澤を描くことで、作品を今まで見続けていたからこそ、愛らしくも映って、初々しさまで感じちゃいました。
さりげない後輩キャラ・六角(演:草川拓弥)
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2人の職場の後輩でもある六角。一見、チャラく見えつつも、筋の通った男の子。
※映画でもやんちゃで元気いっぱいという人物を熱演してくれました。とても好印象で友だちにしたいキャラクターだと思います。
仕事に一生懸命で誰にでもやさしくて、はきはきとしゃべる楽しい後輩くん。
六角と話すと元気が出そうだなって感じましたね。職場でもムードメーカー的な存在で、明るいのでずっと見ていられる役を演じてくれました。
※ドラマ版ではけっこう出演シーンがあった六角くん。今回の映画ではあまり出番は多くなかったですが、また会えて嬉しい~って感じでしたね。
映画版『チェリまほ』を見た感想
カミングアウトをする決断
劇場版・チェリまほは、前半部分テレビドラマで放送していたような雰囲気で、自宅の部屋で見ていられるような安心感がありました。
安達と黒沢の職場でのできごと、何気ないふだんの暮らしの様子など、ドラマを見ていた者としては今回の映画を見て、チェリまほという物語はそうだったそうだったと再確認できる構成。
※あの2人が本当に帰ってきたんだぁ、って感慨深くなっちゃいましたね。
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そして、映画の後半からがらりと物語の展開が変わります。
長崎でのお話しがひと段落し、終盤のシーン。安達と黒沢がお付き合いをしていることを、それぞれの両親が待つ家族へ報告するシーンがあります。
※そのあと、ふたりの結婚式があり、職場のみなさんも祝福の為にくるので職場のみなさんへもお付き合いをしていることを伝えたのだとわかります。
カミングアウトをすることがこの映画の後半部分のテーマ。
現代の社会において、ゲイであることや、同性同士がお付き合いをすること、同性同士が恋愛をするということが、わからない知らない理解できないという人も多いのかもしれませんが
この、多様性について深く考えさせられるのが映画の展開として大きいものがありました。
※日本ではまだ同性同士の結婚が認められていないですし、政令指定都市を中心にパートナーシップ制度も広がっていますが、ふたりの今後のことを考えると、まだまだ将来的に不安なことも多いでしょう…。
これを踏まえた上で安達の両親は「清が決めたことだから覚悟を持って踏み出したことだろう」というセリフを残しました。
少数派であるゲイの人がカミングアウトをして生きていくことは、楽しいことだけではない、悲しいことやつらいことも待ち受けていることだと思います。
…その上で、安達の両親は自分の子どもの背中を押したんです。
”おめでとう”があたたかい
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安達の両親は自分の子どもへ向けて、黒沢のことをあなたが選んだ「人」だと伝えました。
男性が好きだとか、女性が好きだとか、そのような話ではなくて、安達が黒沢を人として好きになったのだと、この両親は受け止めました。
そして、自分の息子に向かって、”おめでとう”と伝えました。
※おめでとうという言葉は、普段なかなか言う機会があまりないと思いますが、ふたりが好きな人をみつけられたこと、大切に思っていることを、おめでとうと祝福したのだと思いました。
この…、”おめでとう”という言葉が響きました。
劇中では、両親とのシーンに非常に時間を割いています。登場人物もセリフのひとつを話すにも、言葉に厚みがあり、感情に余白があるので、いろいろ考えや思いを巡らせることができました。
俳優さんのお芝居にも息遣いがわかるような演技で、緊張感や不安感があり…、自分のことのようにドキドキしながら思わず見入ってしまいました。
結果的に、こんなにも素敵な世界があるのだと思いました。
シーンの最後のほうに、安達のお父さんと黒沢が将棋をさす場面があるのですが、安達のお父さんが黒沢に向かって「清(安達)のことをよろしく頼む」と伝えます。
これにとても感動しました。
※安達のお父さんもいろいろな思いを抱いてこの言葉を口にしたのだと思いますが、この言葉を聞いた瞬間、うれしかったです。心にあたたかいものが灯るものがありました。
思いやりにあふれた安達
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安達のセリフに…
「黒沢の大切な人は、おれだって大切にしたい。ひとりで傷つこうとするなよ。一緒に幸せになる人だろ?」という言葉を残しました。
※今回の作品の中で、安達のこの言葉が一番印象に残りましたね。なんて思いやりにあふれた人だろうと思いました。
ささいな言葉かもしれませんが、共感するということや、ふたりで生きていこうとすること、そんな決意とも取れる安達のやさしさが心に染みました。
※ふだん愚痴(弱気?)の多い安達ですが、このときばかりは安達が光って見えましたね。
今後の動きから目が離せない
映画『チェリまほ THE MOVIE 〜30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい〜』公式サイト
https://cherimaho-movie.com/
『チェリまほ』はコミックス(ガンガンpixiv)やドラマ版も好評で、日本に留まらずアジア圏を中心に世界各地で大人気。
日本では同作品が社会現象にまでなりました。
※映画版やドラマ版ともにBlu-rayが好評発売中。また、劇場版はAmazonプライムビデオでも配信中です。
原作であるコミックスも連載中ですし、今後のチェリまほの動きが気になるところ。また、続編なんて!?という期待を込めて…。
みなさんもドラマ版を見てから、劇場版もチェックしてみてくださいね。