ゲイも好む褌(ふんどし)の種類とその歴史を紐解いてみた

褌を締めた江戸の人たち

一般的に知られている「越中ふんどし」「六尺ふんどし」。そして、ゲイバーやゲイマッサージでも愛用されている「もっこ(畚)」「黒猫」

まずは、これら4種類の”ふんどし”について解説していきたいと思います。

越中褌(えっちゅうふんどし)

越中褌

画像引用:https://wadaphoto.jp/

古くから伝わる日本の伝統的下着の一つで、長さ1メートルほどの小幅(34センチほど)の布の一端に紐をつけたもの。

越中褌の良さは、紐の締め加減を自由に調節できる上、通気性が高く、ゆったりとした装着感を得られることです。

こうした理由から、ストレスフリーで健康に良い下着として、あらためて注目されています。

越中褌の締め方

越中褌の締め方

動画:【ふんどし】越中褌の締め方(How to Fundoshi)

※詳しい締め方については35秒~スタート。

6,000人のフォロワーを持つ“褌YouTuber”狸吉さんによる解説動画。

越中褌の装着はとても簡単で、腰のあたりで紐を結び、布を垂らすだけというシンプルなスタイル。

簡単に身につけることができるので、”初心者さんにもオススメのふんどし”です。

※ちなみに、狸吉さんは日本の心である「褌」の魅力を世界中に広めるための活動を行っている方で、「日本人なら一度は褌を締めていただきたい!」という想いを込めて日々活動されています。

越中褌の用の足し方(トイレ)

動画:【ふんどし】越中褌の締め方(How to Fundoshi)

※同じ動画になりますが、トイレの方法は動画の1分18秒ごろから解説されています。

用の足し方については、股間に当たっている生地を横へスライドさせる方法がある他、褌の前の生地を外し、肩にかけた状態で用を足す2パターンがあります。

六尺褌(ろくしゃくふんどし)

六尺褌

画像引用:Rakuten Rakuma

生地をまたぎ、体に巻きつけ締めることで、独特の”締まり”と”存在感”が生まれる魅力的な褌です。

長さは約180cm~300cm、幅約16cm~34cmの”さらしの布”を用いており、臀部(でんぶ・お尻)が露出していることも特徴的。

六尺褌(後ろ姿)

画像引用:http://somfun.seesaa.net/

祭事や水着として使用されることも多いアイテムですし、キリっとしたお尻を最大限に露出できることからゲイにも人気のふんどしです。

六尺褌の締め方

六尺褌の締め方

動画:【ふんどし】六尺褌の締め方(How to Fundoshi)

※30秒を過ぎた辺りからスタート

先ほどの動画でもご紹介した”狸吉さん”が六尺褌の締め方についてもアップされているので、そちらを参考にしてみて下さい。

最初は生地を体に巻きつける簡単な作業ですが…

後半(3分25秒あたり)は自分の位置からは見えない”お尻の辺り”を結ぶことになるので、越中よりも少し難易度が高いと言えるでしょう。

六尺褌の用の足し方(トイレ)

動画:【ふんどし】六尺褌の締め方(How to Fundoshi)

※同じ動画になりますが、用の足し方については、5分50秒から用の足し方についても解説されています。

六尺褌を身につけている時、小(おしっこ)をする際には、ふんどしの前の部分に人差し指をグッと入れ込み、生地を左側へスライドさせます。

こうすることで前が開き、簡単に用を足すことが可能になります。

用が足し終わった後は、スライドさせた生地の下の方に両親指を差し込み、全体を広げます。

※この時、上から広げると形が崩れてしまうので、下から生地を戻す方が綺麗に形を整えられます。

畚褌(もっこふんどし)

畚褌(もっこふんどし)

画像引用:ふんどし専門店「たぬき堂」

『もっこ』は、越中褌を簡略化したもので、着用時はブリーフを履いたような状態になります。後ろ姿もお尻が隠れているのが一般的。

ちなみに名前の由来は、土木工事等で土を運ぶ運搬用具である「もっこ」と形状が似ていることから「もっこ褌」という名称が付いたそうです。

スーパーモッコ

参考:スーパーモッコ(カナマル産業株式会社)

そんな『もっこ褌』の魅力は通気性が良く、心地良い装着感が得られることです。

褌の機能的な利点を残しながらも、ズボンを履く現代生活に適応したスタイルと言えます。

※手前の生地が長く垂れないので邪魔にならず、普段使いしやすいので、男性だけでなく女性からも支持されている褌です。

もっこ褌の締め方(はき方)

もっこ褌の締め方(はき方)

動画:もっこふんどしのはき方

もっこ褌は体を締め付けることなく着用でき、血流改善や冷え性防止にもなることから、昨今では男性だけでなく、女性ユーザーも増えています。

※今回、履き方について解説されている【シーピース公式チャンネル】では、女性向けのオシャレなふんどしパンツ等も紹介しています。

そんな「もっこ」のはき方ですが、まずは褌の前後ろを確認し、紐が輪っかになっている方に左足を通します。

続いて、右サイドについている紐を蝶結びにして、両方の紐の位置と生地を整えて完成。

※メーカーや種類によって多少はき方が違うかもしれませんが、足を通すという部分では同じです。

もっこ褌の用の足し方(トイレ)

サイドの蝶結びにした部分をほどけば前が開くので、簡単に用を足すことができますし、ブリーフのようにそのまま下にずらして用を足すことも可能。

黒猫褌(くろねこふんどし)

黒猫褌

画像引用:Pinterest

『黒猫褌』は、畚(もっこ)の一種で、装着時は”Tバック”のような形になるのが特徴です。

昭和初期頃に登場し、戦前、子供たちの水泳の授業などで使われた(水着代わりの)アイテムであり、広島県長崎県では「キンツリ」「三角兵子」と呼ばれていました。

※”黒猫”というの名称は、その後付けられたようで、生地に黒色の麻が用いていたため、そう呼ばれるようになったと言われています。

お尻を見せたいゲイには、手軽に取り扱える”黒猫”が人気です。

黒猫褌の締め方(はき方)

黒猫褌の締め方

動画:【ふんどし】黒猫褌の締め方(How to Fundoshi)

※詳しい締め方については30秒~スタート。

着用方法は簡単で、紐が輪っか状になった部分に片足を入れ、中央の生地を股間に当て、お尻に紐を食い込ませます。

全体の形を整えてから片方の紐を後ろで引っ掛けて、余った紐を巻きつけるように締めていけば完成です。

黒猫褌の用の足し方(トイレ)

黒猫褌も他の褌と同様に、前の生地を横スライドさせるだけで、簡単に用を足すことができます。

タイプ別・ふんどし早見表

各ふんどしを一通り解説しましたが、簡単にタイプを分けるとしたら以下となります。

タイプ別・ふんどし早見表

ふんどし早見表

それぞれの褌の違いは、分かっていただけましたか?

ちなみに、ゲイ男性は特に”六尺”と”黒猫”を愛用している方が多い印象です。

褌(ふんどし)は、日本の伝統的な下着である

褌を締めた江戸の人たち

日本における褌の歴史は大変古く、今から遡ること1400年前の古墳時代には褌が登場しており、褌を身につけた力士の埴輪などが発見されています。

※奈良時代に編纂された、古事記や日本書記にも「褌(ふんどし)」という文字が登場していますが、当時は褌と袴が完全に分かれた状態ではなく、“袴”の意味合いで褌という文字が使用されていたそうです。

ちなみに、褌の起源は「南方伝来説」または「大陸伝来説」がありますが、現在もはっきりとしたことは分かっていません。

…っていう事は、褌は”日本独自のもの”じゃないんだ!?

東南アジアやポリネシア、南米には日本の六尺褌のような物があり、中国にも特鼻褌(とくびこん)と呼ばれる褌があったりします。

※こうした事実から「人類の大陸移動によって、褌の形状も変化していったのではないか?」と考えもあるようです。

徳川家康のふんどし

参考:白麻地下帯(ふんどし) | 没後400年 徳川家康-天下人の遺産

昔は褌に使用している布が大変貴重な物であったため、褌は身分の高い人間だけが身に着けることのできる特別な衣装でした。

戦国時代には、褌の有無が戦死者の身分を証明する判断材料になっており、一般庶民まで褌が行き渡るのは、江戸時代頃と言われています。

褌は”大人の男”の証

武家で男子が元服するとき、烏帽子をかぶせてやり、烏帽子名をつける烏帽子親(えぼしおや)という元服儀式がありますが…

その儀式に褌を使用した「褌親(へこおや)」が存在した地域もあるそうです。

※歌舞伎や時代劇においても、着物の裾からちらりと褌を見せるシーンは「一人前の男である!」という意味があったりします。わかりやすい大人のアイテムだったんですね。

西洋化による衰退

文明開化

画像引用:https://www.tokyo-gas.co.jp/

そして、明治時代になると「文明開化」によって日本人の生活が欧米化。

※褌に対する日本人の感覚が大きく変化、褌を着用して歩く人々は次第に減少したと言われています。

その一方で、1873年に徴兵制度が施行された際には、新参兵には白い越中褌が与えられるなど、下着としての褌はその意義を果たしていました。

※さらに、1908年昭和天皇が学習院大学の初等科へ入学された際には、学生の褌は赤色、先生は白色という決まりごとができたそうですよ。

敗戦による影響

敗戦となった日本

画像引用:https://www.tokyo-np.co.jp/

しかしながら… 戦後、褌は日本人の生活から徐々にその姿を消していきます。

GHQによって、軍隊で用いられていた”越中ふんどし”が「軍国主義の象徴」として問題視。当時、好まれなかった背景にはこうした事があります。

※それと同時に、日本人の暮らしは”アメリカ式”に移行。トランクスやブリーフといった下着が用いられるようになりました。

このように、褌には長い歴史があります。

※現在では全国各地の祭事や、相撲の取り組みなど「古い習わし」を踏襲する形で、普段は褌姿を見るばかりになりました。

ゲイが好む理由としては…

”かつての日本男児の象徴”であったり、トランクスでは味わえない”男らしいセクシーさ”があるのではないか?

と考えます。

ハッテン場事件